相手に話をするときに結論を先に言いなさいというのはプレゼンでも就活でもよく言われることだ。
とてもシンプルで当たり前のことだが、社内外のMTGでも、学生・中途問わずの面接でもこれが徹底できている人は20%くらいだろうか。
もっと少ないかもしれない。
特に自ら話しているタイミングではなく、こちらが質問をしたことへの回答、いわゆる質疑応答になるとそれが出来ない人が非常に多いと感じる。
結論が最初に来ないと、どこに軸足を置いて話を聞けばいいかが定まらないため、何を話しているのか内容がよくわからないことにつながる。
枕詞が大事
結論を話すコツは話の冒頭に「一言で言うと」という枕詞をつけることだ。
「他社との違いはなんですか?」
「一言で申し上げますと、価格面が他社よりもn%ほどお安くなっております」
あるいは
「学生時代に力を入れたことはなんですか?」
「一言で言うと、野球部で全国大会出場を目指して努力したことです」
といった具合だ。これくらいシンプルでいい。
多くの人はここで具体的な話をしてしまう。
「資料の7ページをご覧いただいて、ここの機能が…」
「私は15年間野球を続けてきたのですが…」
のような回答で、質問に最初の一文で答えられていない。
もちろん、最後まで聞けば回答になっているのであろうが、逆に言えば「説明のあとにしか回答をしない」わけであって、相手の疑問をそのままに説明に入ってしまっている状態だ。
話したい気持ちは分からないではないが、これでは聞き手にとって不親切である。
まずは質問に対して「一言で言うと」でシンプルに回答する。これに尽きる。
説明も枕詞をつけて
とはいえ、「一言で言うと」だけで終わってしまっては説明としては不十分だ。
そのあとに先のような詳細の話が来ることになる。ここで使うフレーズは「具体的に言うと」という言葉だ。
それを用いると
「他社との違いはなんですか?」
「一言で申し上げますと、価格面が他社よりもn%ほどお安くなっております。具体的に言いますと、資料の10ページ目に記載の通り、初期費用がx円、ランニングコストがy円となっており、これは他社と比べても…」
のようになる。
あるいは
「学生時代に力を入れたことはなんですか?」
「一言で言うと、野球部で全国大会出場を目指して努力したことです。具体的には、練習の方法を根本から見直し、個々の課題に適した練習メニューを提案したことでチームの成績を飛躍的に向上させ…」
というようになる。
聞き手としても、「具体的に言うと」と言われると「あ、ここから詳しい話に入るのだな」と理解が出来るし、
もし先の「一言で言うと」の時点で疑問があれば、「具体に行く前に少しよろしいですか?」と疑問を早めに解消することも出来る。
非常に聞き手に優しい話の展開になる。
まとめもしっかりと
「具体的に言うと」の話の長さにもよるが、具体的な話を終えた段階で「まとめると」の枕詞とともに冒頭の結論を再度提示してあげるとよい。
「他社との違いはなんですか?」
「一言で申し上げますと、価格面が他社よりもn%ほどお安くなっております。具体的に言いますと資料の10ページ目に記載の通り、初期費用がx円、ランニングコストがy円となっており、これは他社と比べても…。まとめますと、弊社の提案はn%のコストカットが出来るということです」
や
「学生時代に力を入れたことはなんですか?」
「一言で言うと、野球部で全国大会出場を目指して努力したことです。具体的には、練習の方法を根本から見直し、個々の課題に適した練習メニューを提案したことでチームの成績を飛躍的に向上させ…。まとめると、全国大会出場のために創意工夫をした日々が、学生時代最も注力したことです」
というような形だ。
具体的な話は双方盛り上がる一方、そのプレゼンが終わった後に「あれ、結局何が言いたいんだっけ」となることもしばしばである。
それを防ぐために着地点をお互いそろえる必要があり、そのために「まとめると」という枕詞で、「ここで認識揃えますよ」とアピールしてあげるとよい。
話すのは難しいことじゃない
小難しく語ったけども、話をするのはそんなに難しいことではない。
ここまで述べた「一言で言うと」「具体的に言うと」「まとめると」の流れは普段無意識に使っているはずだ。
日常でも
「好きな俳優だれ~?」
「横浜流星!こないだのドラマ超やばかった!あの○○のシーンとかめっちゃかっこよかった!横浜流星最高~!」
みたいな会話とかたまにスタバで聞こえてくる。話しているのは高校生か大学生くらいの女の子だ。
この
「横浜流星!こないだのドラマ超やばかった!あの○○のシーンとかめっちゃかっこよかった!横浜流星最高~!」
は
「(一言で言うと)横浜流星!(具体的に言うと)こないだのドラマ超やばかった!あの○○のシーンとかめっちゃかっこよかった!(まとめると)横浜流星最高~!」
最高のプレゼンである。
「好きな俳優だれ~?」という質問に突然お気に入りのドラマのシーンの説明(具体)から入る人はほとんどいないだろう。
まとめ~プレゼンは掛け算である~
横浜流星の例から分かるのは、ほとんどの人に「ちゃんとプレゼンする能力」はすでに備わっていて、あとはそれを「いかに発揮するか」ということだ。
もちろん、重要かつ難易度が高い話になればなるほど、シンプル化して話すのは難しいし、これほどシンプルな回答でいいか不安になるだろう。
しかし、大事なのは
プレゼンテーションの成果=自分の伝えた内容×相手の理解率
であるということだ。
自分がアウトプットする内容をいかに難しく精度高くしたとしても、それが相手の理解につながらなければ、プレゼンテーションの成果は最大化されない。
反対に伝えた内容が細部まで説明が及ばなかったとしても、重要な部分の理解が相手の中で100%まで達していれば、プレゼンテーションの成果としては十分だといえるだろう。
「言う」で終わらずに「伝える・伝わる」ような話し方を出来るようにしたいものです。