僕の仕事は社内でほかの人に出来ない仕事が多い。
これまで不便だった所への新しい仕組みの導入や、手動・属人でやっていたところをマクロやバッチファイル、RPAなどを駆使して自動化するなどを行っているが、僕自身はこれらを社内の誰かから教わるわけではなく、基本的に自分で調べて実行する、を繰り返すしかない。
もはや死語だが「ググれカス」の精神だ。
とはいっても、「分からない」のだから調べようがないと感じることもある。一方で調べないと出来るようにならない。
そこで重要になるのが「検索力」だ。
ググる大事さ
今はリモートワークが推進されていることもあり、上司部下の距離感が物理的にも心理的にも離れていて、これまで気軽に聞けたことが聞きづらかったり、上司側からしても「そんなことにいちいち構ってられないよ」というシチュエーションが増えているのではないかと思う。
今こそ、ネットを使ってほしい情報を見つける、いわゆる「ググる」ことへの重要性が高まっている。
デジタルネイティブでも検索力は高くない
僕自身は1992年生まれなので、俗にいう「デジタルネイティブ」という世代らしい。
僕が所属する会社の社員もこの世代の人が多く、そういう意味では子供のころからインターネットに触れてきたこともあり、「インターネットで探し物をする」ということへの抵抗感は高くない。
むしろ、辞書を引くことができない、みたいな話で中高の頃は話題になっていた記憶すらある。
そんな我々の年代でも「ググる力」つまりは「検索力」は高くないように感じる。
これは今の会社だけではなく、過去に勤めていた会社を振り返ってもそう思う。
「これ調べたら出てくるよ」と伝えたとしても、
「いや、さっき調べたんですけど出てこなかったんです」と。
仕方なく目の前で一緒に検索をすると
「あ、そうやって検索すればいいんですね」
といった具合だ。
これは少なくとも本人の学歴や社会人歴には比例していないと今の時点では感じる。
非常に優秀な学校を出ていても、検索力が低い人は低いのだ。これを鍛えていくしかない。
検索は「具体的」にしすぎない
そんな同僚の検索する一連の動きを見ていると検索力が低い原因が見えてくる。
言ってしまえば「言葉を選ぶセンスがない」のだ。
今の課題を解決するのに「なんでそのワードで検索する!?」となる。
例えばExcelでvlookupという関数の使い方が分からないとする。
もうそこまで具体的な「課題」があるわけだから、
「vlookup 使い方」でググれば必要な情報はごまんと出てくるわけだが、その子は
「vlookup わからない」で調べてしまう。
もちろんそれでも情報は出てくるのだが、
ここでの結果は「わからない」へのアンサーになるので、
「こうすればわかるよ」という理論めいた話だったり、
「僕もここで苦戦しました」みたいな実体験の話だったり、
要は情報が非常に具体的で、ゆえに欲しい情報にたどり着くまでに時間がかかったりする。
苦戦しました
→こういう所ミスしがちですよね
→よくあるミスってこんなのです
→本来はこのように使うんです。
と4段階かかったりするのだ。
具体的な情報は分かりやすい場合もあるけれど、かえって「応用が利かない」ケースが多くある。
このちょうどいい「抽象度」の感覚をつかめるかどうかが検索力の1つの肝である。
検索力はすなわち言い換えである
検索力を鍛えるには、という話をするとそれはすなわち「言い換え力」であると思っている。
先の例で言うならば、
「ExcelのVlookupという関数が分からない」という状況をいかに「言い換え」て検索をするか、ということである。
例えば、
「Vlookup 使い方」
「Excel Vlookup」
「Excel 検索 関数」
どれで探してもVlookupを含むページには当たるだろう。
あとはその中から、内容や書き方(口調など)を見たときに自分に最も必要で分かりやすい情報を選べばいいのだ。
1つ目の検索で欲しい情報が得られなかったときに、
「調べたけど出てこなかった」
とするのではなく、
「違う書き方で再検索してみよう」
と頭を切り替えることだ。
言い換えを駆使して、ほしい情報に当てはまる言い回しを見つけて探す、これが検索力を鍛えるということだ。
ネットの方が賢いし、自分の状況を正確に伝えるのは難しい
検索力を鍛える大原則が2つある。
1つは「インターネットの方が賢い」ということ、そして2つ目は「自分の状況や課題を正確に文字にするのは難しい」ということだ。
1つ目は、もはやここまでインターネットが発達した社会構造になった現在、よほど専門的なことをあなた自身がやっていない限りは、「インターネット上に解決法は必ずある」ということだ。
「調べたけど出てこなかった」は「インターネットに当該知識がなかった」と結論付けていることになるだろうが、そこは「インターネット上に必ずある解決策を自分が見つけられなかった」だけだ。
「これで困っている人は私以外にも絶対いるし、それを解決した人もいるはずだ。」といかに思い込んで探すことができるか、が非常に大事である。
そして2つ目、先ほど自分の状況をいかに言葉にして言い換えるか、という話をしたが、この「課題・状況を言葉にする」というのは非常に難しいことであるということ。逆に言えば一度や二度ですんなり正しい伝え方は出来ていない可能性が高いということだ。
これは日常生活で友人や同僚・家族と話していてもそうだろう。
相手が人間であれば色んなバックグラウンドから想像してもらえることもあるだろうが、インターネットの場合はそうそう簡単にはいかないので、より「自分の伝え方」が問われてくる。
そういう意味で、自分の「伝える言葉」という所にフォーカスを当てるべきだ。
あとは試行あるのみ
そういう前提の下で、検索することを安易にあきらめず面倒くさがらず続けていくのが検索力向上の近道だ。
この検索力は確実に試行回数で伸びていく能力でもある。やればやるほど身につくだろう。
今は便利な時代で、インターネット上にある情報が、多くは無料で得ることができる。
一昔前なら何かのスクールに通ったり、テキストを購入しないといけなかったことが、無料で手に入れられるのだ。
もちろん、情報の取捨選択をするセンスも並行して問われるので、違う難しさはあるだろうが、このチャンスを逃す手はないと思っている。
だからこそ、自分の課題を明確に言葉にする力を鍛えて、「検索力」を伸ばしていってほしいのだ。