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【要約】多賀少年野球クラブの「勝手にうまくなる」仕組みづくり

本ページはざっくりとした要約と、それに対する私の解釈をコメントし、優れた本を紹介させていただいています。
今回は辻正人さんの、「多賀少年野球クラブの「勝手にうまくなる」仕組みづくり」です 

 

 

全体要約

2018年、2019年に全日本学童大会連覇を果たした滋賀県の多賀少年野球クラブ。強豪チーム特有の厳しい指導…かと思いきや実情は子どもも保護者も笑顔になる「勝手にうまくなる」仕組みを作り上げている。
そこに至るまでには結果の残せない時期、保護者からの厳しい声、様々なことがあった。
指導者目線だけではなく、子ども目線は当然ながら、子を持つ保護者の目線も重要視しながら、その上で「子どもが最も成長するやり方はどうか」を既成概念にとらわれずに考え抜いて取り組んでいる。

章の構成

第1章 チームづくりの方針

多賀少年野球クラブさんがどのようにチーム作りをしているのかを紹介している。
練習も試合も楽しく、という方針や、
学年の障壁なく指導しており、固定化しないことで常に活気を生んでいる、という点は本質的だがなかなか取り組めているチームは少ないように思う。
また、他チームとの比較も積極的にしてもらいたいと考えており、移籍をしても活躍していると聞くと喜びがある、というのも長年議論される「移籍問題」の1つの理想形だと感じる。

第2章 選手がうまくなる仕組と指導

多賀少年野球クラブさんの特徴の1つは低学年から座学で野球を落とし込むということ。最初は聞き流していても、いずれ試合や練習で理解できる時が来る。最初からすべて分かるのではなく、わかるための下地を整える、これを低学年から徹底してやっている。
また、「待ち時間」を徹底的に減らす工夫をしている。練習試合も「総合練習」と捉えて、ベンチメンバーの一部は練習に励んだり、当然試合に出ているメンバーも課題を持って取り組んでいる。
その繰り返しで時間の「密度」を上げ、自ら上手くなる仕組にしていると感じる。

第3章 チームの環境と運営

どのチームにでもある保護者会の制度をうまく仕組化し、役員や審判が過度な負担にならないよう、少額ではあるが謝礼を払うことで「不平等感」を軽減している。
野球が子どもの自由を奪わないよう、事前にスケジュールを可視化し、「野球もある」生活リズムを作り上げる。
地域との協力も工夫をして連携し、決して一方的なボランティア・負担にならず、メンテナンスの代わりに宣伝、グラウンド利用の代わりに適切な施設管理、と互いに付加価値を出して支えあっている印象。

第4章 子どもの育成と「魔法の言葉」

大人の指示通り動くのではなく、子どもが自ら考えて動く、それを目指して育成を進めている。
そのために大人が様々なことに気づいて、子どもの動きを認める声掛けをする。
野球に限ったことではなく、勉強や遊びそのほかのレクリエーションでも同じである。
この雰囲気、活気をどう醸成するかが大切

第5章 目指すべき少年野球の形

大人も「何が目的か」を考え、行動することが大事。ルールも時には必要だが、「ルールだから」と考えることを放棄しては本末転倒である。
少年期においては、「学年」よりも「野球歴」が大事。6年生であってもつい最近始めた子と、1年生からやってきている子では出来ることが違って当然。

まとめ

少年野球のみならず、サッカー、バスケ、場合によっては塾やそろばん教室など、子どもたちが集まる場所ならではの悩みをどう解決するのか?
目的である「子どもが好きで始めたことを応援する」ということに対して、知恵を絞って考え、その方法を惜しげもなく共有してくれている本。
子育て、チーム運営に悩む方は多いと思います。一度手に取ってみてはいかがでしょうか?